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読んで、考え、書き記す。起業「成功」ノート

まえがき

自己紹介

昭和29年2月生まれの60歳です。あっという間の60歳でした。20代はサラリーマン、30代に起業家、40代からは起業を支援する側に廻っています。大学を卒業して大阪の中堅メーカーに就職しました。29歳の時、僕の起業家人生はその会社の社内起業家からスタートします。この時の話は、『ザ・アントレプレナー』という本に書いています。30歳で起業しました。子ども用品のセレクトショップ『ポムアレー』をフランチャイズで多店舗展開するというプランでした。ミキハウスさんをイメージしてもらうと分かりやすいです。最初はとっても上手くいって、12店舗まではとんとん拍子でしたが、その後、苦戦して、結局すべての店舗を閉めることになります。すべてが終わったのは42歳の時でした。1店舗2店舗と作って12店舗になった店を、ビデオを巻き戻すように11店舗、10店舗と店じまいして、ゼロに戻るというのはとてもつらいことです。男が一番仕事ができる30代をこの事業に使ってしまいました。ゼロからスタートしてゼロに戻る。僕は一体何をしてるんだろか?「バカじゃない」当時の僕の思いです。でも、しかし、です。ここでの学びが僕の原点になっています。『失敗から学ぶ』この本のテーマです。

ポムアレーロゴ

子ども用品の事業はどなた様にもご迷惑をかけずに手じまいできました。従業員の給与、家賃、光熱費、支払代金、その他もろもろ・・・すべてに遅延なくお支払いして事業を清算することができましたが、銀行には1億近い借金が残りました。後日談ですが、この借金、生きてる間に返すことはできないと思っていましたが、僕の次の仕事「起業支援」が上手くいって、数年で返済することができました。ほんま、人生何が起こるかわかりません。

読者全員を起業させたい!

次は、みなさんのことをお聞きしたいです。今、この本を読まれている・あ・な・た・のことです。この本を読まれている方には、「すでに起業している人」「起業すると決めて、準備をしている人」「起業するとは決めていないけど、起業もあるかな?と思案している人」の3種類の方がおられると思います。最初の方を「起業駆出しさん」、次の方を「起業準備さん」、最後の人はふらふら迷っている人なので「ふらふら君」と名付けましょう。この3種類の他にいるとしたら、それは僕と同じ起業を支援している人だと思います。あなたは?どんなコンセプトで起業支援をしていますか?あなたの起業支援の参考になれば幸いです。どなたさまも大歓迎です。

さて、駆出しさん、準備さん、ふらふら君、それぞれみんながどのようにこの本を読んだらいいかをまずはお教えします。

駆出しさんですが、ハッキリ言います。事業がうまくいってないんですよね。ごめんね。、直球で。でも恥ずかしいことではないです。ほとんどの場合、起業は目論見通り進みません。あなたも普通に起業の道を歩んでいます。でも、ここが勝負どころです。あなたはこの本を読んで、現状打破できるヒントを見つけたいと思っておられる。正しいです。読み終わる頃には「今日、何をすべきか」がハッキリしているはずです。僕の言うことが一番刺さる人だと思います。なぜなら、起業準備さんとかふらふら君は、「畳の上の水練」だからです。水の中に入って泳いでいるのは駆出しさん、あなただけです。

準備さんとかふらふら君に僕があれこれ教えても所詮「畳の上の水練」です」。どんなに教えても水に入って泳げるはずがないです。水泳の練習は水の中でするもんです。そうなのですが、残念なことに社長の練習は社長でないとできないです。準備も大事ですが、やってみないとわからないことが多すぎる。これが起業です。でも、大丈夫ですよ。最初の水練は足の立つところでしますから。つまり、僕の話が実感できて、そして、明日実践できるのは駆出しさんです。

セッション1小さな起業の心構え-アントレプレナーシップ-

アントレプレナーシップとは

アントレプレナーシップとは起業家精神のことを言います。アントレプレナーシップってのはスポーツマンシップみたいに精神だけを言っているのではないです。何もないところから新たな価値を創造するというプロセス(過程)をアントレプレナーシップと言います。ベンチャービジネスのバイブルと言われている「ベンチャー創造の理論と戦略」(ジェフリー・A ティモンズ著)の中にそのように書かれています。起業とは新たな価値を生むプロセスってことです。あなたが新しい商売を考え、それを実行することで、そこには新しい価値が生まれる。そういうことです。え、まだ、難しい?わからんですか?では、たとえ話で。

そして、価値創造にはもう一つあります。あなたが好むと好まざるとにかかわらず、その町のお役に立てるのです。僕はそのことを「価値連鎖」と言っています。お店のオープンにはお祝いのお花が最低3つは届きます。この店舗を仲介した不動産屋、この店舗の大家、内装をした業者。、その三つです。そうです。あなたがお金を払った人ばっかりですが、あなたがこの町でうどん屋をやろうと思わない限り、花屋さんにはこの三つのお花の注文は入いっていません。不動産仲介屋さんには仲介料を払い、店舗の大家にはお家賃を払います。内装業者はあなたのお店に付けるエアコンをメーカーに発注するでしょうし、内装業者の手伝いのお兄ちゃんには日当の1万円が支払われます。そのお兄ちゃんはその1万円を握って仕事帰りにキャバクラに行きます。そのキャバクラでその1万円を使っちゃいます。価値が連鎖していますよね。そこのキャバクラ嬢が出勤前に、「あ、うどん屋さん、できてる?!食べよう!」ぐる~っと廻ってあなたのところに返ってきます。お店のアルバイトさんにも、食材を仕入れている業者さんにも、価値の連鎖は広がります。あなたが投げ込んだ小石が池に波紋を描くように、あなたを中心に価値の連鎖がどんどん広がるのです。どうです。ステキでしょ。こんな素敵な仕事って他にあると思いますか?大好きなうどんで、商売ができて、「ご馳走さま、ありがとう」と一緒にお金がもらえて、世の中のお役にも立つ!なんてすばらしいんでしょう。これが起業のもう一つの価値創造です。

なぜ、起業なんですか?

起業の理由が「生活の為」「飯を食う為」と答える人がいます。まず、そこから間違っています。僕の持論ですが、「飯を食う為に起業する人はいません」きっぱり、言い切ります。もしそう考えてる人が居たら、それはその人の勘違いです。自分のことがわかっていないのです。僕はわかっています。僕は起業家を起業家以上に知っています。

もう、10年以上前になりますが、厚労省が主催するシニア向け創業セミナーの講師をしました。厚労省のシニア(高年齢者)の定義は55歳以上なので、その会場にはハローワークに登録している(失業している)55歳以上の方が50人ほど集まっていました。ほぼ全員がふらふら君です。僕はこの講義の中で、いつものように「飯を食う為に起業するヤツはいない」と言い切りました。そうすると受講生から手が挙がり、「先生は飯を食う為に起業するやつはいないとおっしゃいますが、私はどこも雇ってくれないので自分で稼ごうと思っています。つまり、飯の為に起業するやつもいるってことです」との意見でした。

僕は彼に言いました。「それはあなたの勘違いです。あなたは飯の為に起業するのではないです。あなたは『自分らしく生きる』為に起業しようと思っているのです。その自分に気が付いておられないだけです」と言いました。

僕が彼に言ったのは発展途上国では生計の為に起業する人が多くいます。確かに日本も戦後はそうでした。東京も大阪も焼野原でそもそも雇ってくれる会社がない。みんなは食べる為に闇市で商売を始めました。しかし、21世紀のこの日本では飯を食う為に起業する人はいません。飯を食う為ならサラリーマンがいいのです。どのように考えてみても飯の為の起業って選択肢はないです。あなたは仕事がないと言いますが、仕事はあります。仕事を選ぶからないので、選ばなければいくらでもあります。片言の日本語しか話せない留学生でもアルバイトをしています。コンビニ、居酒屋、交通整理・・・仕事はいっぱいあります。ただ、あなたは自分のキャリアから得た経験、知識、実績、それらを活かせる仕事を探しておられる。でも、その仕事がないのです。自分のキャリアを捨てれば仕事はいくらでもあります。つまり、あなたにとってのキャリアはあなたそのものです。つまり、あなたはそのキャリアを活かして、そのキャリアでお役に立ちたいと思っている。つまり、自分らしい仕事をしたいということです。自分らしい仕事で評価されたい。つまり、自分らしく生きたい。それなら、そのキャリアを活かして起業しようと考えておられる。つまり、あなたは飯の為に起業するのではないです。そうですよね。もう一度、胸に手を当てて、何故、ここに座っているかを考えてみて下さい」と言いました。

この本を読んでいるあなたも胸に手を当てて、何故、この本を読んでいるのかを考えてみて下さい。

情熱・確信・志

起業には大切なことが三つあります。この事業を絶対に成功させるという「情熱」この事業は絶対に成功するという「確信」世の中の役に立つという「志」です。僕のところに来る起業家で情熱がない人はいません。みなさん、事業に対しては情熱的です。ただ、絶対成功するという「確信」があるかと言えば、そうではなさそうです。自信なげです。志についても、自分の事業を通して世の中のお役に立ちたいと思っておられます。なので、ここではみんなが自信なげな「確信」についてお話ししたいと思います。

結論から言うと、事業に対する確信というのは自分に対する自信。つまり、自分を信じることです。自信に根拠はいりません。そもそも根拠なんて最初からないんですから。起業に必要な資源としてヒト、モノ、カネ、情報、いろいろ言われますが、一つだけ挙げろって言われたら僕は「自信」って言います。これさえあれば後はどうにでもなります。

自分で考える力

自由>自己責任、これを楽しめないと起業は辛いって話をしましたが、その続きです。起業はどこから手を付けて良いかわからない。何をどうしたらいいか?わからないって話をよく聞きます。それもそのはずです。0からの価値創造なんで誰でも人生で初めての経験です。

僕たちは小さな時から誰かにお膳立ていただいて、そこで頑張るというのが当たり前になっています。僕が小学校に上がったのは昭和36年ですが、すでに小学校はあって、校舎があって、教室があって、先生がおられて、教科書も用意されてて、「さあ、吉田君、あなたはピカピカの1年生ですよ。しっかり勉強しなさい」と言われて頑張りました。就職した時も会社があって、商品やサービスがあって、先輩がいて、先輩に教わりながら、「さあ、吉田君、営業ですよ。しっかり売って下さい」と言われて頑張りました。いつも誰かに何かを用意してもらって、そこで全力を尽くす。僕たちはそんな頑張り方に慣れています。

起業は違います。そのお膳立から自分でやるんです。誰も何も用意してくれません。そこが一番戸惑うところだと思います。でも、だからこそ面白いのです。

幼稚園のクラスで「さあ、お絵かきしましょう」と先生が言うと、一斉にわ~っと書き始めます。これが大学生になると、「さあ、絵を書いて下さい。どうぞ」と言っても誰も書き始めません。キョトンとして先生を見ています。誰かが手を挙げて「何を書くんですか?」と質問します。先生が「なんでもいいですよ。さあ、描きましょう」と言ってもまだ誰も描き始めません。違う学生が「何で書くんですか?」と質問します。先生は「なんでもいいですよ。鉛筆でもボールペンでも、さあ、描きましょう」と答えます。でも、まだ、誰も描き始めません。そうすると違う学生が「どこに書くのですか?」と質問します。先生は「どこでもいいですよ。ノートでもプリントの裏でも」と答えます。それでも、誰も書き出しません。最後に学生が、「先生、そんなのむちゃくちゃや」と言い出して、みんなも「そうだそうだ」と言い始めます。

僕たちは小学校に入学して、大学を卒業するまでに3000以上のテストを受けるそうです。このテストにはすべて正解があって、誰よりも早く、誰よりも多く、正解した人が一番難しい大学に入って、役人になったり、大企業に勤めたり、政治家になったりします。つまり、僕たちの頭は正解思考になっています。人生にも起業にも正解なんてないのです。でも、何か正解があるような錯覚に陥ります。先の学生達は問題のないテストを受けたことがないのです。問題がないのに正解はないです。

起業にも起業準備にも正解はないです。失敗しない起業準備も成功する起業準備もないです。やってみないとわからないのが起業です。そして、自分なりの成功を定義して、そこに進むのです。起業とは自分で出した問いに自分で答える作業なのです。

人生想いのまま

僕は1996年の大晦日、除夜の鐘を聞きながら、経営コンサルタントになると決めました。風呂の中でした。当時42歳。第2創業です。20代はメーカーの営業マン、30代は小売業で起業。コンサルタントはまったくのキャリアチェンジです。中小企業診断士の資格は持っていましたが、経営コンサルティングがなんたるかもわからないで起業しました。知らないって強いですよね。これはマーケティングのところで詳しく述べますが、業界知識なし、セオリー無視で業界に入って行くんですから、めっちゃ失敗はしますが、結果的にオリジナリティーあるサービスが作れたと思います。

話を元に戻します。

経営コンサルタントで仕事をするには、営業しないといけないです。営業するには営業資料が必要です。でも、何をしていいわからないので「経営コンサルタント」をネットで検索しました。これって1997年の話です。検索してもそんなに出てこないのです。当時、Googleも無いしね。まずは財閥系総研が出てきました。野村総研、三和総研、三菱総研、日本総研。次に事業系で船井総研、調査系で矢野経済研究所。そんなところです。そこで、僕は野村総研と船井総研のホームページからあれこれサービスを拝借してプレゼンの資料を作りました。

事業計画の作成、戦略的経営コンサルティング、人材活用、財務分析、営業マンの戦力化、云々、すごい資料になりました。それこそ、コンサルタントの百貨店みたいなプレゼン資料が出来上がりました。僕はそれを持ってメンターである先輩社長のところに行って初めてのプレゼンをしました。腕を組んで黙って聞いておられた社長に、プレゼンが終わって「どうですか?」って聞きました。社長は「あかんと思うで・・・」とおっしゃいました。僕が「やっぱりだめですか?」って聞きなおすと「吉田君、君はどう思ってる?あかんと思てるやろ。吉田君があかんと思ってるもんはあかんわ。いつも言ってるように人生想いのままや。吉田君があかんと思うもんはあかん。やれると思うもんはやれる」それだけや。

確かにその通りです。僕は自信なげにプレゼンしていたんでしょうね。顔に自信ありませんと書いてあったんだと思います。そして、社長の言う「人生想いのまま」というのをその後実感するようになります。本当に人生想いのままなんです。そのまんまなんです。

「吉田さん、人生想いのままって本当ですか?楽観的やな~。、能天気やな~」とあなたは思っていますよね。自分が人生思いのままに生きているって実感はないですよね。それが違うんだな~。あなたも例外ではないです。あなたの人生もあなたの想いのままです。今、もし、上手くいっていないなら、それはあなたが上手くいかないと思っているからです。

人は可能性のないことを想い描くことができないようになっています。つまり、想いには可能性があるのです。小学校一年生のクラスで「大きくなったら本田に代わってACミランで10番を付けたいと想ってる人」と言えばきっと数人の男の子が「ハイ」と手を挙げます。でも、同じ質問を大学生にしたら、本気で手を挙げる人はいません。小学一年生にはその可能性があります。僕たちはその1年生に「一生懸命にサッカーがんばりや。きっとACミランで活躍できるよ」と言いますよね。ACミランの10番で活躍するには身体能力だけじゃなく、すごい努力と運がないと難しいですよね。でも、ここで話してるのは起業の話です。たかが、起業です。想いのままになります。あなたが本気で想っているのならですが。

起業の準備

失敗への不安

僕が最初に書いた本が「ベンチャー失敗の法則」‐失敗したヤツが成功する-。三冊目が「ザ・アントレプレナー」-やってみるからすべてははじまる-。この章のサブタイトルと同じです。この二つの本は全く違うテーマを扱っていますが、根本は同じなんです。「失敗」の捉え方。失敗の価値、失敗から学ぶ、失敗は怖くない。これを伝えたかったのです。

日本には潜在的起業希望者が300万人、起業準備者84万人、年間起業者が22万人と言われています。300万人居て22万人しか起業しないです。意識や文化の問題、国の制度や環境の問題、そして、失敗への不安。これらが起業への一歩を躊躇させます。失敗への不安ですが、国はセーフティネット(安全網。空中ブランコの下に張られてるネットですね)が必要だと言っています。あなたが銀行からお金を借りる時はあなたが個人保証をしないといけません。会社が倒産した時に会社に代ってあなた(個人)が返済する保証を銀行にとられるのです。会社が返済できないのにあなたが返済できるはずもなく、あなたは自己破産しなければなりません。会社はなくなるはあなたは破産して身ぐるみ剥がされるわ、踏んだり蹴ったりですよね。これを是正するために個人保証しても必要な私財の一部は手元に残せるよう全国銀行協会や日本商工会議所が国の方針に基づいて見直しを発表しました。確かに個人保証制度の見直しはいいことですが、それであなたは安心して起業できますか?自己破産も怖いですが、その前に失敗が怖いんですよね。どんな失敗かは別にして。

結論から言うと、失敗なんて怖くないです。へっちゃらです。みんな失敗したことがないので、知らないから怖いだけで、実は怖くないです。起業したらみんな失敗します。残念ながらあなたも失敗します。どんな失敗をするかはわかりません。僕みたいに10年やって1億の借金が残るような失敗をするか、今日の営業に失敗するのか、不良品で返品の山になるのか、どんな失敗かはわからないです。でも、間違いなく失敗します。失敗が怖かったら起業したらあきません。でも、失敗なんて怖くないのです。

失敗しない人が成功するんじゃない

みんな勘違いしています。失敗しない人が成功すると思っています。違います。みんな失敗します。失敗から学ぶ人が成功するのです。イチローも10回バッターボックス立てば7回空振りします。ユニクロの柳井さんは一勝九敗という本を書いておられます。成功する人は小さな失敗から大きく学びます。ダメな人は大きな失敗から小さくしか学びません。学びのない人は同じ失敗を2度3度とします。

僕がこのような話をすると「吉田さん、そうですよね。成功事例も大事ですが失敗事例をもっと勉強すべきですよね」って言う人がいます。でも、これまた間違いです。失敗から学ぶという趣旨で「失敗を科学する」とか「倒産の研究」みたいな本が出ていますが、僕はそこから失敗を学べるのか?懐疑的です。

「倒産の研究!バカな息子に会社を継いで倒産」なるほど、勉強になるな~。バカな息子に会社を継いだら潰れるんや!そんなヤツはおらんでしょ?バカに会社を継いだら倒産するって誰でも知っています。でも、バカな息子に会社を継ぐ経営者はいっぱいいます。

「失敗を科学する!本業をほったらかして倒産」これ学びになりますか?これも当たり前でしょ。本業ほったらかしたらあかんに決まってます。でも、「中小企業のオヤジ、会社がうまくいくと小料理屋をやりたがる法則」というのがあります。(笑)

つまり、他人の失敗からは学べないというのが僕の自論です。自分の失敗からしか学べないのです。「人の振り見て我が振り直せ」と言いますが、それで直るなら世界から失敗はなくなります。起業とは失敗が法則ですから「失敗しない」なんてことは無理です。幻想です。起業は失敗を前提にそこから如何に学ぶかが成功の近道なんです。

沢山の起業相談を受けてきました。沢山の事業計画書を見てきました。若い頃は「資金計画が甘い」とか「マーケットが見えない」とか事業アイデアや計画書に対してあれこれダメ出ししていました。同じやるからには成功して欲しい、失敗してほしくないとの思いからあれこれ専門家ぶって意見を言っていました。しかし、最近は法律違反とか公序良俗に反するもの以外は「いいんじゃない。やってみたら」と言います。僕がそう言うと起業家は「やれそうですか・・・」って嬉しそうに聞いてくるので「あかんと思うけど・・・」って言います。「え、あかんのですか」「そらあかんやろ、事業計画作りました。やりました。成功しました。そんな話聞いたことないよ。失敗から学ぶんや、それが嫌なら辞めとけ」と言います。

創業準備に完璧はない

もし、完璧な創業準備があるとすれば、それが完璧かどうかは結果ですよね。順調に推移して、安定した企業に育つことだと思うのですが、いくら準備に時間をかけて慎重に臨んだとしても、そんなの幻想です。起業することと起業した事業が継続していくことは別物です。そもそも、起業準備は「畳の上の水練」です。畳の上でどんなに水泳を教えても泳げるようにはなりません。水泳の練習は水の中でするものです。ただ、残念なことに社長の練習は社長にならないとできないのです。なので、さっさと起業して、水に入って下さい。勝負はそれからです。

ビジネスモデルに試練を与える
「なんで」と「ほんま」が
「なるほど」に変わるまで

僕が20代で最初に書いた事業計画書は手書きでした。当時はパソコンどころかワープロもなくてコピーは青焼きみたいに湿っていました。社内ベンチャーからのスタートでしたから、時間もお金も充分にあって、それこそ大河ドラマみたいな大作ができあがりました(笑)今から思うとこの大作が出来上がったところから失敗は始まっています。当時、28歳の吉田君がこの60歳の吉田君に相談にきたら「ええやん。やってみたら?あかんと思うけど」とアドバイスしたと思います。この話は「ザ・アントレプレナー」という3冊目の本に書きました。

何が失敗だったか?それは独我論です。一人で考えていましたから、自分の都合のいいように解釈したり、思い込んだりしていきます。この事業計画書が出来上がるころには「完璧だ」と思うようになりました。まだ、スタートしていないのにです。これが怖いのです。どんどん自分の世界に入って行って「これって、成功だよね。失敗しようがないよね」と本気で思うようになりました。「失敗が法則です」って言ってる僕がですよ。当時はそのことがわかりませんでした。この事業計画書は社内稟議に上がり、役員会までいって承認されます。5000万円がこのプランに投資されることになりました。その頃には僕の鼻はマックスまで高くなっていました。

「ビジネスモデルに試練を与える」というのはいろんな人にプランを聞いてもらってダメ出ししてもらうことを言います。いっぱい「ダメ」をもらって下さい。「なんでやねん?」とか「ほんまか?」っていっぱいもらって、それを一つ一つ考える。シミュレーションする。その度にプランを書き換える。そうすると、最後に「なんで」と「ほんま」が「なるほど」に変わっていきます。これは事業がスタートしても同じです。常にいろんな人の意見を聞きます。ただし、その後で自分で考える。自分で考えて、自分なりの結論をだして、行動する。これが大事です。受け売りや物まねはあかんです。

経営資源

サラリーマン時代の人脈は当てにできない話をしましたが、起業に必要な資源はこれまた人脈なのです。ただ、この二つの人脈は大きく違うのであえて後者をネットワークと言いましょう。起業のネットワークとは「あなたのことを応援してくれる人とのつながりです」起業家にはなんの看板もないので、裸のあなたを応援してくれる人たちです。まず、家族、友人・知人、学生時代の同級生、会社の同僚や先輩。そして、これからあなたと出会う人たちです。起業準備の中で一番大事なのはこのネットワーク作りです。

一昔前には「年賀状を何通書きますか?」と聞いていました。だいたい50通ぐらいと答える人が多かったように思います。起業するなら新会社の設立挨拶やお店の開店案内が200通以上出せないとしんどいよと言ってきました。この200通に根拠はないのですが経験値としての200通ぐらいです。この200通はお客様になってくれそうな200人という意味ではないです。あなたの起業を「頑張れよ!何か手伝えることがあれば言ってこいよ」と応援してくれる。支援してくれる。気にかけてくれる人たちです。僕のところにはいろんな開業のご案内がきます。「ネイルサロン」って言われても僕がお客さんになれるわけではないですよね。「鹿児島で」って言われてもすぐには行けないし。でも、僕はそうか、アイツ起業したんだな。頑張れよ!って思っています。ネイルサロンの案内をうちの女性スタッフに「これ、弟子なんやけど、ネイルサロンオープンしたって」とその割引の付いた案内状を渡すかも知れません。別件で鹿児島の人と話してて「そうだ、鹿児島で〇〇で起業したのがおるんですが」と話題に上るかもしれません。小さな起業の口コミとはこんなところからはじまります。

次にこれから出会う人たちとの良いネットワークの作り方です。1対1での出会いもありますが、あなたの起業準備では勉強会やセミナー、交流会などにどんどん参加されることをお勧めします。同じ起業家仲間や支援者とのいいネットワークが作れると思います。

僕は「ネットワークに貢献する」ということをいつも言っています。言葉を変えると「お役に立つ」ということです。これは対個人とのお付き合いでもネットワークとのお付き合いでも同じです。まずはお役に立つということです。思惑や下心、恣意なしにお役に立つということです。下心があれば見えてしまいます。僕のセミナーや講演でその後の予定がない場合に「これも何かのご縁です。終了後に一杯やりたいと思うのですが、行く人はいますか?」と声をかけます。すると何人かが頷くのですが、そこで僕が「誰か幹事してくれますか」と呼び掛けます。一瞬の沈黙の後に最初に手を挙げる人。きっと、この人は起業に成功します。これがネットワークに貢献するということです。幹事は大変ですが、まず、幹事になれば全員に覚えてもらえます。楽しく終わったら「ありがとう」と感謝されます。まずは自分の周りの人のお役に立って下さい。良いネットワークはここから生まれます。

出来るだけ早く失敗する

石の上にも3年と言いますが、あれは昔の話です。ネットベンチャーがマーケットを凌駕した2000年ぐらいですか。ドッグイヤーと言われました。犬の1年は人間の7年。そんなスピードでインターネットのマーケットは動いています。最近僕が言ってるのは石の上にも3ヶ月です。スタートアップはそれぐらいのスピード感でマーケットと対話しないとダメです。時間=お金なんで早く事業をスタートさせて、お客様に聞きながらお客様のニーズにフィットするように事業を修正していく。これが必勝法です。失敗から学ぶ。自分の失敗からしか学べないと言いましたが、だったら、早く失敗して早く学ばないと。早く失敗するには早く始めないといけません。

これは僕の実感ですが、失敗に時間をかけてはいけません。がんばりは必要ですが、頑張り過ぎてもあきません。がんばると成果が出ます。がんばりで現実がゆがんでしまいます。ゴルフで言う「結果よし」です。「え、成果が出るならいいんじゃないですか?」ってあなたは思ってるでしょ。それが間違いなんです。がんばりは続きません。長続きしません。成功してる事業を見て下さい。がんばっていますか?がんばってないでしょ?(笑)僕はがんばりから出る成果を歪んだ成果と言っています。普通にやって普通に売れる商品がベストです。

「商品はいいのですが、売れない」「商品はいいのですが、わかってもらえない」と相談を受けます。ほとんどの場合、売れない原因は「商品が良くない」からです。売れない原因はマーケティングじゃなくて、商品があかんのです。失敗の原因は商品にあって売り方にはないのです。だったら、良い失敗してるんですから、お客様に商品の良くないところ(買わない理由)を聞いて改善していきましょう。失敗から学びましょう。それをがんばりで売ると良くない商品でも売れてしまうので、商品を改善しないですよね。これが致命傷になります。

失敗から学ぶ。何回も言いますが、営業のたびに失敗すべきです。前段でも書きましたが、断ってもらいましょう。きっぱり「いらん」と言ってもらいましょう。そのかわりに「買わない理由」をしっかり教えてもらいましょう。聞きましょう。

起業のマーケティング

土俵戦略とは

吉田理論は、僕の体験とその体験の原因結果を理屈としてまとめたものです。本も読みますが、受け売りや物まねはしません。結果的に他の先生や先人と同じようなことを言っている場合もありますが、そこに至る経緯はまったく違います。失敗も成功も「なんでそうなったのか」をしつこく考えます。感覚的に「いいな~」と思ったことや、「いややな~」と思ったことも、何故自分がそう感じたのかをしつこく考えます。どんな感情にも理由があるからです。それが僕なりの理屈です。すぐに答えが出なくても後で「あ、そやったんか」とひらめくこともあります。土俵戦略は、自分がコンサルタントとして独立した時の経験と起業支援の活動の中から生まれました。

自己紹介でも書きましたが、コンサルタントになると決めたのは1996年の大晦日、42歳でした。営業資料を作った話もしましたが、問題はどこに営業に行くか?です。友達関係で経営コンサルタントが必要なところは思い浮かびません。自分がどんな経営コンサルタントなのか?どんな経営コンサルタントを目指すのか?そこから曖昧で誰のお役に立てるのかもわかりません。

名刺フォルダーから見込み客を探そうと思うのですが、どの名刺を見てもピンと来ないのです。「ここは関係ないな」「ここは違うよな」「大手すぎるな」「小さすぎるな」今考えれば、自分の考えが固まってないのに、どれも合いそうに思わないのはあたり前ですよね。そっちの問題じゃなくて、こっちの問題でした。

前段でも書きましたが「人生思いのまま」と教えてくれました先輩社長は、僕のプレゼンを聞いて、もう一つアドバイスをくれていました。その時のプレゼンは、これも先に書きましたが、野村総研と船井総研のホームページからのコピペして作った資料でした。先輩社長は「吉田君、コンサルタントの百貨店みたいやな~、なんでもできるんや(笑)でもな、なんでもできるコンサルタントは人に紹介しにくいで・・・」彼が言いたかったのは「紹介しやすいコンサルタントになりなさい」ということでした。その為には専門分野を持ちなさい。「〇〇に強いコンサルタントになりなさい」そういうことでした。当時、駆出しで、仕事のない僕は、大きなザルを広げて落ちてくる仕事はなんでも取りたいと思っていました。専門分野を絞り込むとはお客様を絞り込むことですから、それでなくても仕事のない僕にとってはとっても怖いことでした。

その時、下を向いてる僕に「吉田君、絞り込むのが怖いんやろ、大丈夫や、絞り込んでも、広げても、どっちにしても仕事はないから安心し・・ガハハハ(笑)」この一言で迷いが消えました。一緒に笑ってました。ゼロからスタートしてるのに、僕は何を怖がっているのかと自分で自分がおかしくなりました。その通りや、どっちみち仕事はないんやし、怖がることないわ。よっしゃ、わかりやすく絞り込もうと思いました。自分が一番自信をもってやれること、一番自信を持って語れるところ。そう考えたら、それが起業支援でした。そして、ここに絞り込みました。

そもそも営業に自信ないのに起業したらあきません。起業したからには営業ヘベタでもなんとかしないといけません。そこで、自分の経験も活かして考えたのが土俵戦略です。つまり、営業しない営業です。

オンリーワン、ナンバーワンから始める

まず、オンリーワンの話からします。オンリーワンで戦うにはオンリーワンの土俵がいります。つまり「自分の土俵を作って自分の相撲を取る」これがオンリーワンです。まず、自分の土俵をどう作るかですが、この土俵とは事業領域です。小売りとか飲食ならまずは何屋さんか?カレー屋か?カフェか?ネイルサロンか?経営コンサルタントか?メーカーなら自動車か?家電か?自分の土俵をどこに置くかということです。ここから絞り込みます。どんなカレー屋かどんなネイルサロンか、ここが絞り込みです。

インターネットの時代に二番や三番は覚えてもらえません。何をやるにも一番でないとあかんです。一番にもいろいろあって、売上が一番、店の大きさが一番、小ささが一番、単価が一番高い?安い?一番の取り方もアイデア次第です。

次にこのオンリーワンを差別化の視点で見てみましょう。他の店とどこが違うんですか?と聞かれた時にどう答えますか?差別化って「差」ですが、オンリーワンって個性ですから「差」ではないです「個」です。究極の差別化は個性化です。差で勝負したらあかんです。差で勝負するってことは、差を競争することです。競争したら小さな起業家は負けます。個性化すれば競争はなくなります。自分の土俵で自分の相撲が取れます。相撲の相手はお客様です。競争相手じゃないです。お客様をサービスや商品の満足で投げ飛ばすんです。お客様が「参りました~」って降参して喜んでお金を払ってくれます。これが土俵戦略です。オンリーワン、ナンバーワンを目指すんじゃないんです。オンリーワン、ナンバーワンから始めるんです。オンリーワンであれば自動的にナンバーワンです。

僕のところに友人からの紹介で行政書士の人がご挨拶に来られました。名刺交換の後、彼に質問しました。

僕「行政書士なんですね。専門はなんですか?」
彼「相続と遺言です」
僕「そうですか、だったら、相続遺言では日本で一番ですか?」
彼(困った顔)「吉田先生、苛めないで下さい。独立したてて一番って、とんでもないです」
僕「日本で一番やないんですか?残念!どこでされてるんですか?」
彼「千葉です」
僕「だったら、千葉では一番ですよね」
彼「めっそうもない。千葉にも沢山の行政書士の先生はおられるので・・・」(困った顔)
僕「え、千葉でも一番じゃないんですか?千葉のどこですか?」
彼「木更津です」
僕「失礼しました。木更津では一番ですよね」
彼(ちょっと考えて)「どうかな?」
僕「あのね。僕が木更津まで行って調べるはずないんですから、そういう時は『一番です』って言っとくんです。これ営業の常識ね」
彼「では一番ということで・・・」
僕「遅いわ、、、それで、木更津のどこですか?」
彼「3丁目です」
僕「3丁目では一番でしょ!」
彼「ありがとうございます。(満面の笑み)3丁目には行政書士は僕だけです。オンリーワンでナンバーワンです」

つまり、土俵を絞り込めばどこかで一番になります。彼の正しい自己紹介は「行政書士をしています。相続と遺言が専門です。千葉の木更津3丁目では一番です」こう自己紹介すれば、きっと僕は「その3丁目っていうのは何?」と質問します。そしたら「私の事務所は木更津3丁目にあって、木更津3丁目では行政書士は僕だけなんで、独占しています。そして、一番です」こう答えれば100点!僕ならおもしろい行政書士やな~と思います。そして、「吉田先生、見ていてください。次は千葉で一番になって、その次は関東で一番になって、その次は日本で一番になります」ここまで言えれば完璧です。

自分物語

「オンリーワン?個性化?・・・私にはないです。他と違うところ?優位性?差別化?・・・無理」ここまで読んであなたはそんな風に感じていませんか?それが違うんだな~。起業とは個性なんです。100の事業には100の個性があります。どこにでもあるうどん屋だとしても、僕がやるうどん屋は世界に一つです。吉田雅紀のうどん屋は世界に一つです。あなたの起業がどの分野かはわかりませんが、あなたがやること自体が個性です。僕はこれを「自分物語」と言っています。

札幌のイベントで、大石農産さんの大石社長とご一緒したのはもう10年も前の話です。大石農産は「清流大根」というブランドの大根を、関東を中心に販売されています。「清流大根」あなたはこの名前からどんな大根をイメージしますか?北海道でしょ?清流でしょ?キーンと冷たい感じ?みずみずしい真っ白な大根?そんなイメージですか? 大石農産のホームページのトップにはこう書かれています。

「十勝の南に位置する大樹町にある大石農産は、東は太平洋、西は日高山脈に接しています。 近くには日高山脈の澄んだ雪解け水がながれる「水の郷100選」に選定された日本一の清流「歴舟川(れきふねがわ)」も流れています。 太平洋からは海のミネラルを含む霧が天然ミストとなり、大根畑に降り注ぐことで、自然の恩恵をうけた健康でまろやかな大根づくりの手助けをしてくれています」

大石さんはその時、こう言われました。「吉田さん、うちのお客さんは大根を食べてるんじゃないんです。『清流大根』という物語を食べています。外国と戦うなら別ですが、今の時代、国内の生産者と戦うのに安全、安心、新鮮、おいしいなんていうのは当たり前です。どれも大切ですが、これだけでは勝てない。それらすべてを物語にして、物語を食べてもらうのです。僕はそこを目指しています」なるほど、お客さんは大根を食べてない。物語を食べている。

最初に言ったようにあなた自身がブランドです。あなたの物語が商品やサービスをブランドにするのです。あなたがどこで生まれて、どこに育ち、どんな人生を送って来て、この事業に辿りつき、これから、この事業をどのように育てたいのか?何を目指しているのか?これがすべて物語です。個性そのものです。小さな起業では自分物語で勝負します。

鳴くまで待とうホトトギス

この土俵戦略のセッションの最初に書きましたが、みんな、営業が苦手です。あなたもそうですよね。テレアポできますか?一日200件電話をかけ続けて、ガチャ切りされてもへこまずにやり切れますか?飛び込み営業できますか?「この地区を担当しています〇〇と申します。今日はご挨拶にお邪魔しました。名刺だけでもお渡ししたいのですが」交流会や懇親会で名刺交換の度に自分の商品を売り込めますか?できませんよね。苦手ですよね。

この「苦手」をもう少し正確にいうと、営業の入口「見込み客の獲得」が苦手なんです。自分の商品やサービスに興味を持ってくれている人に説明するのは得意ですよね。買うと決まった訳ではないですが、相手が自分の商品やサービスに興味をもってくれて、商品説明して欲しいと思っているなら営業できますよね。そこで、僕が考えたのが、見込み客の獲得が苦手なあなたの為の「見込み客マーケティング」です。

日本最古の和菓子屋さんと言われる「あぶり餅」で有名な「一和」さんは、創業長保2年1000年の歴史です。この一和さんを筆頭に、和菓子の老舗が京都にはづらりと並んでいます。その中で緑寿庵清水さんは微妙な立場だったと思います。金平糖は和菓子のようですが洋菓子です。金餅糖の語源はポルトガル語のコンフェイト (confeito)。 南蛮菓子としてポルトガルから伝えられたとされています。白、赤、黄・・・いろんな色があり楽しいのですが、すべて砂糖味です。この砂糖味オンリーだった金平糖にいろんな味を付けたのが4代目誠一さんです。生姜、ニッキ、林檎、メロン、レモン・・・前段にもありますが、現在は50種類ぐらいの品揃えになっています。金平糖にはレシピはなく、釜で転がる金平糖の音を聞きながら五感を使い体で覚えていく一子相伝の技です。風味のある金平糖作りは大変難しいことで、通常は、砂糖に酸や油分、塩分が加わることにより固まらないといわれてきました。この常識を覆し、さまざまな素材を用いた金平糖を創り出すことに成功したのが緑寿庵清水さんです。日本でただ一軒の金平糖の専門店です。
4代目の誠一さんが「新製品開発」をしました。そして、5代目の泰博さんが新たな売り方を生み出したのではないかと僕は思っています。緑寿庵清水さんでは一番小さな小袋が555円です。一つ100gないと思います。もの言いが悪いですがお許し下さい。「たかが金平糖です」味が付いたからと言って2倍や3倍で売れるものではないです。それを2倍どころか10倍で売れるようにしたのが5代目泰博さんではないかと。緑寿庵清水さんも金平糖を売っていないように思います。緑寿庵清水さんが作った物語を食べさせています。その代表が究極の金平糖です。

「フランス製ガラス入り究極のチョコレートの金平糖。1月バレンタイン好適品3600円」「究極のキャラメルあられ金平糖2月ホワイトデー好適品3600円」「霧箱入り究極のシャトー・ヴァンブランの金平糖5月父の日好適品8,500円」「霧箱入り究極の日本酒の金平糖11月お歳暮好適品3600円」究極の金平糖はすべて季節限定、数量限定です。数量限定なので3年待ちという品もあります。

僕は京都が地元です。正月に馴染みのお茶屋の女将が「吉田先生、これ、ご存じどすやろか? 緑寿庵清水さんの日本酒の金平糖どす。なかなか手に入らしまへん。おひとつどうどうすぅ」女将が自慢してます。お茶屋の女将が自慢するぐらいのブランドになっています。

究極の金平糖、高級風趣献上品、特選、季節限定、茶道専用、催事限定、慶祝用、御祝用といろんな物語があります。物語にプラスして、季節限定、数量限定にして、希少価値を高めて、それがまた物語とになって、緑寿庵清水の世界が広がります。

お店は中心地からは少し離れた百万遍で10坪ほどの小さな店です。東京三越、京都伊勢丹、梅田阪急に小さな売り場があると聞いていますが、それ以外はどこにも出店していません。インターネットでも販売していません。地方発送はしますが、注文は電話かFAXしか受け付けていません。お店で一番売れてるのは、お土産の詰め合わせセットだと思います。お土産なので、どのお客様もあれこれ、いくつも買って帰られます。そして、もう一つのメイン顧客は、引き出物、慶祝用、御祝用のお客様です。

すでに、機転の利くあなたは気付いてると思いますが、緑寿庵清水さんは、自社のお客様を観光客と引き出物などお祝い事のお客様と決めています。この二つのお客様は特に物語がお好きなんです。土産話って言うよね。お土産に緑寿庵清水さんの金平糖を渡しながらあれこれ語れます。お祝い事は特にそうですが、頂いた引き出物やお土産が今日のお祝いに花を添えないといけないです。「緑寿庵清水さんの金平糖を、この数お揃えになるのは大変でしたでしょ」そんな会話が思い浮かびます。ジョブズのところでお話ししましたが、商品開発とお客様開発は、マーケティングを挟んで行ったり来たりするのです。そして、お茶屋の女将はブランド向上のお役に立っていますが、メインのお客様ではないです。女将、そういうことやで。

110%を納品する

「110%を納品する」です。10%でいいからお客様の期待を良い方に裏切りなさいということです。その10%があなたに代わって営業しますよ。って話です。そもそも土俵戦略は営業ベタなあなたの戦略なので「営業しましょう」「売り込みましょう」って話ではないです。営業しない営業手法です。あっちから注文が入ってくるシステムです。

商売とは物々交換の時代から等価交換が原則です。同じ価値のモノを交換するのです。山からうさぎを獲ってきたヤツと、海で魚を釣ってきたヤツが、丘で出会ってお互いの獲物を見比べつつ等価を交渉します。「うさぎ1匹と魚20匹なら交換する」と山の男が言います。すると海の男が「10匹なら交換する」と言います。この等価交換原則の上に貨幣経済が発達しました。

110%を納品するとは10%を余分前に提供するってことです。等価交換ではないのです。あなたは余分な10%を損することになります。この損が営業をするのです。

あなた(ここでは女性です)は職場の仲間と2人で、最近オープンしたイタリアンレストランに食事に行きました。食事が一通り終わった時にオーナーシェフが「いかがでしたか」とご挨拶に来られました。「おいしかったですよ」と会話の続きで「よろしかったら、新しいデザートを作ったのですが、試食していただけませんか?」との申し出です。「喜んで」ということでいただいたら、とっても美味しくて・・・云々」
場面は違ってもよく似た経験があるんじゃないでしょうか?デザート、得しましたよね。ラッキーでしたよね。お店を出て二人で「ラッキーだったよね」って話しますよね。そして、Facebookで写真と一緒に「デザートもらっちゃった」ってつぶやきませんか?Twitterでもつぶやくよね。帰ったら、家族にも話しますよね。「今日さ、〇〇さんとイタリアンに行ったら、オーナーシェフが出てきて、デザートご馳走になっちゃった」翌日の昼休みに会社の仲間にも話しますよね。どうですか。あなたはそのレストランに代わって営業してませんか?レストランはデザートの分だけ損をしています。その損があなたに営業させています。110%を納品するとはそういうことです。

レスポンスの速さは「あなたのことを大切にしています」バロメーター

営業しないあなたの次の営業は「レスポンス」です。反応の速さです。レストランではお食事が出てくるタイミングが大事ですが、早過ぎもダメですが、遅すぎるのは論外です。お客様からのお問合せに対する返答。小気味良い対応やスピードある仕事は気持ちいいですよね。プロの仕事だな~と思います。レスポンスの早さとはお客様からのリクエストに如何に早く応えるか、つまり「あなたのことを大切にしていますよ」とのメッセージなのです。

あなたが既婚男性で、すでに結婚して20年経ってるとしたら、奥さまからの「今日は晩ご飯食べる?」ってメールにクイックで反応しないのでは?でも、これが新婚時代だったら「食べるよ!愛してる。ハートマーク!」でクイックレスポンスしたんじゃないですか?

レスポンスの速さはあなたのことを大切にしています。バロメーターです。メールも電話も、お問合せも、見積りも、納品もすべてクイックレスポンスです。クイックレスポンスがあなたに代わって営業します。

そこに居て準備ができていること。

これはとても大切なことです。「そこに居る」は後で説明するとして、まず「準備」の話です。あなたはあなたの見込み客との接点で、いつも的確に自分の商品やらサービスを説明できる準備が整っていますか?準備をしていますか?交流会などで名刺を持ってない人がいますが、すべての出会いはチャンスです。個人名刺でもいいので作っておいて下さい。後で連絡できないです。名刺を切らす、忘れるなんいうのは言語道断です。初対面の時から「すみません。名刺がないんです」なんて謝っているようでは相手に良い印象を与えられないし、名刺を持ってないことがあなたを消極的にします。端っこに隠れて「誰も挨拶に来ませんように・・・」なんて、何のために交流会に参加したかわかりません。

僕は立呑みが好きで、新橋の立呑みの王者と言われています。まず、立呑みは安い。貧乏な起業家にはぴったりです。立呑みは席がないので上座も下座もなくて気さくでいい。席がないのでメンバーが増えたり減ったりしても大丈夫。立飲みに行くときはFacebookで「今日行くよ」ってつぶやくと「行く行く」ってどんどん集まります。上場企業の社長とも立ち飲みです。ここで新しい出会いがいっぱい生まれます。僕の知らない間にビジネスが始まったり、一緒に会社をやっていたり。「え、2人は友達だった?」ってびっくりして聞いたら「なんでですか?吉田さんに立呑みで紹介してもらったんですよ」なんて。僕は忘れていますが、。そこに居ることが大切なんです。誘われたら断ったらあかんです。誘われなかったら誘いましょう。チャンスは外にあります。

そんな悩めるあなたに米澤藩主、上杉鷹山の名言をプレゼントします。誰もが知ってる「為せば成る 為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」も有名ですが、僕は「働き一両」が大好きです。

働き:一両
考え:五両
知恵借り:十両
骨知り:五十両
ひらめき:百両
人知り:三百両
歴史に学ぶ:五百両
見切り:千両
無欲:万両

この言葉を僕はこんな風に解釈してます。いくら一生懸命働いてもたかだか一両しか稼げないです。少しは考えて働きなさい。考えて働けば五両の値打ちになります。と言ってもあなたの考えなんてたかが知れていますから、先人に知恵を借りてはどうですか?知恵を借りれば十両の仕事ができます。もう一つ、仕事にはコツというのがあります。仕事のコツを会得したら仕事が早くなります。仕事のコツはすべてに共通です。これで五十両の値打ちがでます。そして、仕事で一番大事なのがひらめきです。いつも仕事のことを考えているからこそ「あっ」とひらめきます。ひらめきには百両の値打ちがあります。次に大事なのは人とのつながりです。あなたの将来はその人達が決めます。何を知ってるかより誰を知ってるかが大切です。人知り三百両。そして、先人、先輩、歴史に学びなさい。歴史に学ぶこと五百両。そして、仕事には失敗がつきものです。未練や思惑や思い込み、恣意を捨てて、アカン時には見切りなさい。見切り千両。最後は無欲です。無欲の人には勝てません。仕事もここまで来たら名人です。
悩んだら人に相談する。

PLAN・DO・SEE

成長戦略です。「事業を日々成長させる」経営に現状維持はないです。上り坂の途中か下り坂の途中か、どちらかです。今日よりも明日をよくすると言うのが成長戦略です。土俵戦略、ちゃんと理論と話してきましたが、成長戦略も基本は同じです。わかりやすくシンプルに組み立てます。ここからは、単月が黒字になり、半期も黒字になり、年度も黒字になり、累損もなくなって、さて、これからどう拡大するか?という人へのお話です。

もし、あなたが飲食店を始めたとしましょう。飲食店の売上は客数×客単価ですから、売上を上げる方法は客数を上げるか、客単価を上げるか、どちらかです。客数ですが、席数×回転率で客数は決まります。席数は決まってるので、回転率 を上げるのですが、行列の出来る店でも回転率には限りがあります。そうすると、値段を上げるか?ってことになりますが、お客様は敏感なので安易に値上げはできません。だとすると、成長戦略はお店を拡張するか、拡張が無理なら大きな場所に移転するか?席数を取らないで客単価を上げる方法としてテイクアウトや物販を始めるか?多店舗化するか?どれかになります。多店舗化も直営で増やすか?フランチャイズや暖簾分けで増やすか?どれかです。成長エンジンを一つにするとは、どれか一つを選ぶということです。二つをしてはいけません。土俵戦略と同じです。限られた経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報・・)を分散しないで集中させて一点突破すべきです。

成長戦略の要は見込み客集めです。営業には紹介営業、飛び込み営業、テレアポといろいろあります。広告には折込チラシ、ダイレクトメール、インターネット広告、テレビ、ラジオ、雑誌、交通広告、看板などなど、ここもいっぱいあります。最初はトライアルでいくつかの媒体を試してみるのはいいのですが、最後は費用対効果が一番良い媒体に集中させます。お客様の入口がいくつかある方が良いと思いがちですが、それが間違いです。間違いの理由は二つあって、一つは先ほども言いましたが、限られた経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報・・)を分散させるのは非効率です。どれもが中途半端になります。もう一つは複数のエンジンを回すとPLAN・DO・SEEがしにくくなり、回転も遅くなります。

最初から広告や営業が上手くいくなんてことはないです。企画して(PLAN)やってみて(DO)どこが良くてどこが悪かったかを評価して(SEE)企画を修正し、また企画し(PLAN)、やってみて(DO)成果を評価する(SEE)これの繰り返しです。これをどれだけ早く回転させるか?これも土俵戦略と一緒です。失敗から学ぶのです。良い成果が出てもマーケットが変化するので、長くは続かないです。常にPLAN・DO・SEEを繰り返します。これを複数の媒体で回すのは小さな起業には無理です。

土俵戦略でkatanaオフィスのリスティング広告の話をしましたが、最初はダイレクトメールやインターネットのバナー広告、雑誌への掲載など複数の媒体を試しました。その結果、費用対効果が高いリスティング広告に絞り込みました。リスティング広告も最初はヤフーとグーグル両方を使っていましたが、PLAN・DO・SEEを2つ回すのは非効率なので、効果が少し高かったグーグルに絞り込みました。現在はグーグル1本で広告しています。他の広告についてはわかりませんが、グーグルのリスティング広告ではコンサルができるぐらいにノウハウが蓄積されています。リスティング広告を工夫すると、クリック単価、クリック数、クリック対問合せ率、問合せ対内覧率、内覧対成約率が変化します。すべての項目を数値化しているので、その数値の変動を基にしてPLAN・DO・SEEを回しています。正解はないです。マーケットは動的ですから、常に変化していきます。つまり、マーケティングに終わりはないのです。

起業のマネジメント

起業とは自己管理です。

土俵戦略(マーケティング)が攻めならちゃんと理論(マネジメント)は守りです。スポーツにもすべてオフェンスとディフェンスがあります。攻めと守りです。「攻撃は最大の防御」って言いますが、小さな起業でこれをやると間違いなく潰れます。サッカーに喩えるとしっかり守って相手を0点に抑えれば、負けはないです。勝ちもないですが、引き分けです。小さな起業で引き分けは勝ちも同じです。もし、なんかの間違いでこちらのチームが1点でも取れば勝ってしまいます。まず、守りが大切です。草スポーツでは攻めなくても守りにミスがなければ、相手が攻めてミスをするので、守るだけで勝てます。小さな起業では守りが大切!それがちゃんと理論です。

ちゃんと理論というネーミングは僕のお袋からきています。彼女は大正9年生まれ、彼女が16の時に父親がなくなり、7人兄弟の長女だった彼女は母親と共に弟妹を育てたしっかりものです。家は貧しかったようですが、女学校までだしてもらっています。卒業生総代で答辞を読んだというのがお祖母ちゃんの自慢でした。でも、セーラー服ツギハギだらけだったようです。

彼女は僕がもの心つく頃から3つのことを言い聞かせていました。一つ目は「人様の迷惑にだけはなったらアカン」二つ目は「男のしゃべりはみっともない」三つ目は「ちゃんとしぃ」この三つです。最初の「人様の迷惑にだけはなったらアカン」は今から思うとお袋は「お母さんはマー君(僕のことです)が世の中のお役に立てるような大人になって欲しい思うけど、それはきっと無理やと思う。でも、お役に立てなくても、迷惑にならんかったら、それでよろしい。お母さんはそれでうれしい」こう言いたかったんだと思います。子供は期待されないとすくすく育ちます(笑)言葉を変えると「人様の迷惑にならないなら何をしてもいいよ」ってことですから。

「男のしゃべりはみっともない」はよくしゃべる子供だったんですね。小学校であったことを一通りしゃべらないと気が済まない子でした。最初は「うんうん」と聞いてくれるんですが、その内に「マー君、男のしゃべりはみっともないです。ちょっとは静かにしなさい」といつも怒られていました。

最後の三つ目は「ちゃんとしぃ」。ちゃんとしぃは大阪弁ですが、標準語でも「ちゃんとしなさい」と言うんですよね。「小さな起業の心構え」でも書きましたが、僕はAD/HDだったようです。なので、いつもお袋から「ちゃんとしぃ」と怒られていました。なぜか、夕食の時にいつもお味噌汁をこぼしていました。なんかわからんけど、手が滑ったり、肘があたったり、その度に「ちゃんとしぃ!ご飯食べる時はテレビに夢中にならないで、ちゃんとご飯を食べなさい」と怒られていました。電車の中では「マー君、ちゃんとしぃや、電車の中やから、他の人の迷惑になるよ。じっとしてなさい!ちゃんとしぃ!」それでもいつもお袋の足袋を踏んで怒られていました。お袋はお茶の先生だったので真夏以外は着物でした。白い足袋を僕が踏むので真っ黒になってました(笑)お袋は「マー君、お母さんはマー君にできないことをしなさいとは言っていません。なぜ、できることができないの?やろうとしないの?ちゃんとしてね」と言いたかったんだと思います。

僕が起業家に言う「ちゃんと理論」も同じです。やっぱり土俵戦略(マーケティング)はセンスやアイデアも必要なので個人差もあれば、人によっては難しさもあります。それはわかります。でも、ちゃんと理論は難しくはないです。誰にでもできます。月次の決算についても約束の話にしてもやる気さえあれば誰にでもできます。ところが、この当たり前のことを当たり前にできないヤツが多いので「こら!やらんかえ!ちゃんとせぇ」と叱っています。この叱ってる自分とお袋が重なって「ちゃんと理論」になりました。

小さな起業の経営管理とは社長の自己管理です。ちょっと乱暴ですが、自己管理=守りです。しっかり守れば0点に抑えられるので負けはないです。小さな起業で引き分けは勝ちと同じです。経営での負けは会社がつぶれることです。会社がつぶれないというのは経営がトントンということです。トントンとは売上から原価を引いて、販管費を引いて、生活して、トントン=引き分けです。ある意味、十分じゃないですか?

帳面を〆る!

絶対に会社をつぶさない方法を教えます。それは5営業日以内に月次決算を締めることです。逆説的になるけど、5営業日以内に月次決算が締まってる会社は潰れないということです。月次決算と言うのは月次の損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)を締めるということです。ここでPL/BSの説明をしてるとそれだけで20ページぐらいるので他で調べて下さい。ただ、ここで言ってるのは帳面を〆る=数字で自分の会社を評価するってことなので、PL/BSでなくてもいいです。丼勘定とか通帳経営とか言いますが、どちらもですが、ちょっとだけ進化させて帳面にして下さい。飲食業なら入ってくるのは売上、出ていくのは材料費(原価)、家賃、電気代、アルバイト代、雑費、広告費・・・。これを差引すると赤字か黒字かお金が増えたのか?減ったのか?わかります。結果は現金残と通帳残の合計です。単純にこの合計が増えてれば黒字、減ってれば赤字です。ただ、お金を借りたり、保証金を積んだりすると結果は少し変わってきます。ややこしい話もありますが、基本は入ってくるお金と出ていくお金、これを合計だけでなく、それぞれの項目で仕訳して、項目毎の増減を月毎に管理するのが月次決算です。僕の友人で10年以上続いてる株式会社ですが、彼はPL/BSが苦手で項目ごとの入出金簿だけで経営しています。それでも会社は潰れません。自分の会社の状況を数字でつかむということです。同じ指標で毎月管理すれば、前月と比較できます。データが溜まれば、前年との比較もできます。前もって各項目を予測すれば、それが予算になって、予算と実績を比較することができます。もし、予算と実績、前月と今月、前年と今年、の数字に違いがでてきたら、良いにしろ悪いにしろ、その原因を分析すれば、その分析の結果から、悪くなってるなら良くする方法、良いのなら、もっと良くする方法を見つけることができます。どの方法が良いかは人それぞれですが、今はインターネットの会計ソフトが安くて使い勝手がいいように思います。PL/BSで管理すれば、この仕組みは万国共通なので、同業種の平均値や他業種とも比べられます。人と話す時も営業利益とか経常利益、販管費、償却など共通言語でコミュニケーションがとりやすいと思います。どちらにしても、みんなやりながら覚えます。まずはあなたも始めましょう。

整理/整頓/清掃/清潔/躾

整理、整頓、清掃、清潔、躾、これって大切ですよね。僕がそう言うとみんなが大切ですって言います。そんなの関係ねえ~って言う人はいません。でも、整理整頓清掃、それぞれの意味を云える人は少ないです。大切だと思っていても意味がわからなければやれるはずないです。あなたはそれぞれの意味、言えますか?まず、頭の中で考えてみて下さい。整理とは?整頓とは?

整理とは要るものと要らないものを仕分けして要らないものを捨てることです。捨てるところまでは整理です。そうすると必要なものだけ残るので、それをあるべきところに整える。これが整頓です。整頓した後に埃を取る、掃除する、が清掃です。これは順番もあらわしていて、整理の前に整頓してしまうと、要らないものまで仕舞い込んでしまいます。整頓の前に清掃すると整頓した時にまた埃がでます。清潔とはよごれのないこと。きれいなことですが、これは人格や生活態度の正しさを言っています。最後に躾ですが、整理から清潔までを習慣にする為に訓練することです。

約束は守って半人前、守ってもらって一人前

約束を守ってもらえる人と守ってもらえない人がいます。知ってましたか?約束を破るヤツは言語道断ですが、もし、あなたが約束を守ってもらえなかったとしたら、それはあなたのせいでもあるのです。経営で一番の約束はお支払です。仕事をさせてもらって、その対価としてお支払いただく。これを守ってもらえなくて、潰れる会社は多いです。

約束を守ってくれる人とお付き合いするのが一番なのですが、人は時と場合で変わります。多面的なのです。オオカミ少年という話がありますが、嘘つきが人生で一度も本当のことを言わないかというと、たまには正直者になったりします。人は人を見て振舞います。死んだ親父が言ってました。紳士の前では人は紳士になると。

とっても気持ちの良い対応のお店やレストランってありますよね。愛想の良い人ばかりを採用してるのでしょうか?違うような気がします。そのようなお店の店長やオーナーは人当たりの良い、愛想の良い人なのです。逆もまた真なりです。確かに資質は大事ですが、スタッフはこのお店に来て、明るく、愛想よく、元気になるのです。

人の振り見て我が振りなおらない

何回も同じことを書きますが起業にとって「失敗は法則」です。どんな失敗かはわかりませんが、法則に従ってあなたも失敗します。法則ですから、怖がらなくてもいいです。あなただけじゃないから、みんな失敗するんですから。それと失敗ってそんなに怖いことでもないです。日本で起業に失敗したからと言って磔(はりつけ)にならないですし、死刑にもなりません。そもそも、この世で起こったことはこの世でけりがつきます。起業してアカンかったらサラリーマンに戻ればいいし、この福祉国家日本では飢え死にすることすら許されていません。めちゃくちゃしない限り大丈夫です。

僕が失敗の話ばかりするので、僕に調子を合わせようと「吉田先生のおっしゃる通りです。成功事例も大事ですが、それより失敗事例に学ぶべきですよね。はい、先生」なんて言って来る人がいますが、それも間違いです。人の失敗からは学べません。人の振り見て我が振り治るならこの世から戦争はとっくになくなっています。

失敗や倒産を研究したり、特集したりする書物はいっぱいありますが、あれから学べるでしょうか?「倒産を科学する!バカな二代目に事業承継して倒産」普通、バカに会社継いだら倒産します。そんなこと誰でもわかっていますが、今日も日本国中でバカな息子に会社を継ぐ社長が続々と登場しています。「失敗の研究!本業をほったらかして倒産」普通、本業をほったらかしたらアカンですよね。ところが「中小企業のオヤジ、ちょっと儲かったら小料理屋をしたくなる法則」というのがあります。最近の若い子ならカフェバーですかね。安定して軌道に乗り始めると経営への興味がなくなるのかな?要は人の失敗からは学べないということです。

何故、人の失敗から学べないか?それは失敗には痛みがあるからです。経営では失敗するとお金が減ったり、増えるはずが増えなかったりします。失敗がわかりやすい。これが痛みです。この「痛み」と「なぜ失敗したか?」失敗の本質ですね。この二つがセットになってノウハウになります。どんなに痛いかは失敗した人にしかわかりません。失敗の本質を見極めるのは難しです。ポムアレー(ベビーショップ)時代にお買い上げいただいたブラウスのボタンが取れていてクレームになったことがあります。表面的には「ボタンが取れていた」ことがクレーム(失敗)の原因のようですが実は違いました。お客様はそのこと自体には怒っておられなかったのです。ブラウスの修理をお預かりしたスタッフが店長にそのことを報告していなくて、店長とお客様のやりとりがちぐはぐになり、そのことを怒っておられました。つまり、問題の本質はボタンではなく、社内のコミュニケーションです。失敗への対応や問題発見などの勉強もしておいて下さい。知っていると知らんでは大きな違いになります。痛みがあり、その上で問題の本質を考えて、そこに行きつく。それが経営ノウハウ、経営力になります。

受身の練習

柔道でも合気道でも格闘技は受身から練習するらしいです。僕は格闘技をしないので、聞いた話ですが、そうらしいです。ただ、柔道も合気道も相手を投げ飛ばすゲームですよね。しかし、投げ飛ばす技より先に投げ飛ばされることを練習します。つまり、格闘技も失敗が法則のゲームだからでしょう。投げ飛ばしに行くのですが、反対に投げ飛ばされるのでしょうね。だから、その時に腰の骨を折ったり、首の骨を折らないように、しっかり受身をします。しっかり受身をして大きな怪我をしなければ、次の試合で勝てばいいのです。これ、まったく、起業と一緒です。失敗を前提にしてまずは受身の練習をする。

何を守るのか

柔道や合気道の受身には前受身や横受身などいくつかの型があるのですが、どの型も頭を守ることが最優先されているようです。つまり、格闘技では足の一本、腕の一本なくなっても意識さえあれば戦い続けられるということなんでしょうね。格闘技において一番守るべきところは頭です。だったら、起業で一番守るべきところはなんでしょうか?

お金や商品、設備、得意先、仕入先・・・いろんなものが想定できますが、僕は「ネットワーク」だと思います。ネットワークとは自分の事業に係るすべての人たちです。まずは社員、一番大切ですよね。次に仕入先、得意先、協力業者。そして株主。事業に係るすべての人にダメージを与えないように全力を尽くす。失敗の時はどうしてもご迷惑をおかけする人がでてきますが、それを最小にするのが受身の目的です。もしそうできたとしたら、小さな怪我で済んだ訳ですから、次の試合で勝てばいいのです。

あとがき

僕が最初に書いた本は「ベンチャー失敗の法則」です。2002年でした。副題が「失敗したヤツが成功する」今考えると「失敗から学ぶヤツが成功する」とした方がよかったですね。この本を書いた時は「どうしたら、成功するかはわからないけど、どうしたら失敗するかはわかる。なので、それをしなければ、結果的に成功するのでは?」そんな提案でした。当時は失敗には法則があって、誰もが法則通りに失敗するが、成功には法則がないと思っていました。天の声、時の運、地の利、人の輪、人生には自分ではどうしょうもない力が働きます。

この本は6月末から書き始めて、今日が8月14日なので、2ヶ月ちょっとで書き上げました。内容はいつも講演やらセミナーで話していることなので、迷いもなく、どんどん書くことができました。書いてみることで、考えがまとまり、深く考えるきっかけになり、そこから新しい気付きもいっぱいいただきました。

書くにつれて、小さな起業の成功法則が確信できるようになりました。それは土俵戦略「絞り込み」とちゃんと理論「自己管理」。この二つです。この二つが成功の法則です。

本文でも書きましたが起業とは意思決定の連続です。「殿、ご決断を」ではないですが、何から何までみんな自分で決めないといけません。会社の設立にしても、「法人ですか?個人ですか?」「株式会社なら取締役会を設置しますか?一人株式会社ですか?」「資本金はいくらですか?」「登記の日は?」「決算月は?」「定款はどうしますか?」「事業の目的は?」バンバン質問が飛んできます。あなたが「う~ん」と考え込むとすべてが止まります。「いっぺんに言わないで~」って叫びたくなります。会社設立は決まったことを決めるだけですが、それでも大変です。これが事業になればもっと難しいです。「仕入れるの?仕入ないの?」「売るの?売らないの?」すべてがお金にからむので意思決定はいつも損と得の背中合わせです。今の損が未来の得になったりもするので、損得と言っても二つに一つじゃないです。